穏やかな哀しみ

こんにちは、オレンジです。


大切な人がいなくなってから、七度目のお正月を迎えました。

 

「分かち合いの会」で、少しずつ気持ちを吐き出せているからでしょうか。

 

辛くて苦しくて胸を掻き毟られるようだった最初のお正月に比べ
今年はずいぶんと穏やかな気持ちで過ごすことができました。

 

もちろん哀しくない訳ではありません。
けれど哀しみの質が違うように感じます。

死別当初の哀しみが荒れ狂う海だとしたら
今は、凪いだ水面にふわふわと波紋が広がっていくようなイメージです。

岸に立つ私は、じわじわと迫ってくる哀しみを、静かに受け入れざるを得ないのです。

 


亡くなって1年も経たないうちに
故人が吸っていたタバコの銘柄が生産中止になりました。

私が物心付いた時から20年以上もずっと傍にあった商品です。

 


幼い頃は、顔馴染みのたばこ屋さんへ何度もおつかいに行ったものです。
当時は今よりも年齢確認に厳格ではありませんでしたから
拙いながらもカタカナ言葉を覚えては得意気になったものでした。



大切な人が亡くなって2年後、
大好きだった歌手が話題になり、歌番組に頻繁に出演するようになりました。

 


生きていたら、お金と時間をやりくりしてまた一緒にライブに行ったのかなぁ。
きっとすごく喜んだろうなぁ…。
考えずにはいられませんでした。



死別して4年後、故人が大好きだった作家の書いた本が映画になりました。

その本自体も、亡くなった後に刊行されたものです。



大切な人の知らない作品が、今後もどんどん増えて行くんだ…。
ぼんやりと実感しました。



 

昨夏、我が家の洗濯機が壊れました。

もう15年も使っていたそれは、修理担当の方にしきりに買い換えを進められるほど。



 でも私は諦められませんでした。

 

だってそれは故人が選んで買った家電なのです。
買いに行ったお店で、うっかりテレビ局のインタビューに答えてしまい
地元のニュースに流れた、という楽しいおまけが付いた思い出の品なのです。



修理担当の方は丁寧に時間を掛けて診てくださいましたが
古過ぎる洗濯機は、モーター自体が劣化破損しており、直る見込みがないとのこと。

とても残念でしたが、買い換えることになりました。



こうして、大切な人の傍にあったものがどんどんどんどん変化していきます。

かつて愛用していたものが消えていく寂しさと
故人が知り得なかったものが増えていくことへの虚しさ。



これからも生き続ける私は、その変化を静かに受け入れざるを得ません。



そういった変化は、年月を経るほどに増えていくはずです。
2013年も、これから先もずっと。


穏やかな哀しみと共存しながら、まずは2013年を生き抜こうと思います。



(オレンジ)

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「分かち合いの会」のお知らせ


◆1月19日(土) 17時~19時30分
 *第3土曜日の集まりは、大切な人を亡くされた若い世代(主に20代30代)の方の集まりです。

◆1月26日(土) 14時~17時
 *第4土曜日の集まりは、様々な体験の方の集まりです。
 
◆2月2日(土) 14時~17時
 *第1土曜日の集まりは、大切な人を自死により亡くされた方の集まりです。
  
◆2月8日(金) 14時~17時
 *第2金曜日の集まりは、主にお子さんを亡くされた方の集まりです。

◆2月16日(土) 17時~19時30分
 *第3土曜日の集まりは、大切な人を亡くされた若い世代(主に20代30代)の方の集まりです。
 
◆2月19日(火) 18時30分~20時30分
 *第3火曜日の集まりは、様々な体験の方の集まりです。

 

◆会場/NPO法人生と死を考える会 事務局(東京都新宿区) JR信濃町徒歩1分
◆参加費/一般1,000円 会員500円

 ※会場などの詳細は、HPをご覧ください。

 http://www.seitosi.org/ 
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