フランクルの言葉

こんにちは。
 
皆さんは、精神科医・心理学者のフランクルをご存知でしょうか。
フランクルは、自身のナチスの強制収容所での体験を「夜と霧」という書籍にまとめています。この書籍は彼の代表作として世界中で読まれてい1冊です。
 
そんな彼は、「生きる意味は必ずある」と問いています。
 
そして、フランクルの言葉や彼の生き方を紹介した本は、多く出版されています。
それらの書籍の1つの「生きる意味 ビクトール・フランクル22の言葉(諸富祥彦)」があります。
 
諸富祥彦「生きる意味 ビクトール・フランクル22の言葉」KKベストセセラーズ, 2010
 
この本では、フランクルの22の言葉を紹介しており、以下のようなものも挙げられています。
 
「どんなときも、人生には意味がある」
「悩んで悩んで悩みぬけ。苦しんで苦しんで苦しみぬけ。絶望の果てにこそ、暗闇の中に一
 条の光が届けられてくれるものだから」
 
ただ、僕はフランクルの言葉を自分に問えば問うほど、辛い思いを感じました。
 
「愛するものを失って絶望の中にある状態で、何を悩み、どうこれ以上苦しみ抜け」というのか・・・。
 
フランクルの言葉は理想論で、フランクルが言うようなことを体感できる人間なんてどれほどいると言えるのかと思ったりもしました。
フランクルに関連する本を読めば読むほど、底なし沼の深みに落ちていく感覚でした。
 
でも諸富氏の本には、フランクルが奥さん(エリーさん)に最期に送った言葉が紹介されています。
 
晩年、死を覚悟するようになった彼はエリーさんに次のようなことを言ったそうです。
「エリー、僕の本の一冊を君に贈ろうと思ってアパートに隠してあるんだ。きっと見つかると思うよ」
 
その後、フランクルの死後、エリーさんが本棚を整理した時、1冊の本がずらして置いてあったそうです。
 
その本は、人間の生きる意味を問いた本の1冊である「苦悩する人間」だったそうです。
そしてその本のある項に、失明に近い状態でひん曲がった字で、ある言葉が書かれていました。
皆さんは、フランクルはそこにどんな言葉を残したと思いますか。
 
それは、こんな言葉だったそうです。
 
エリーへ 「あなたは、苦悩する人間を 愛する人間 に変えてくれました」
 
僕はこの言葉を読んだ時に涙が止まりませんでしたし、今もこの言葉を見ると涙をこらえきれません。
 
その言葉は、僕の過去の体験そのものでした。自分からしたら、ともすれば偉人として捉え、どうしてもその言葉に共感できないないと感じていた彼が最期に残した言葉に人間味を感じ、ある意味、ホッとしました。
 
と同時に、フランクルはそんな思いを伝えてこの世を去って良かったが、「苦悩する人間を愛する人間に変えてくれた人」を失った僕はどうしたらよいのかと思ったのも事実です・・・。
 
でも、今の僕がフランクルの残した言葉を借りるとしたら、自分なりの言葉(物語)を続けるとしたなら、こう続けたいと思います。
 
『「苦悩する人間」を「愛する人間」に変えてくれたあなたはもういません。
  でも、私を愛する人間に変えてくれたあなたと過ごした日々は本当に幸せでした。
 
  だからこそ、僕は、あなたと過ごした日々、あなたの笑顔、記憶をなかったことには決
  しない。
       そのためにも、僕は前を向いて生きたいと思います。
                    あなたのために、そして自分のために   』
 
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